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『見逃されがちな美しさ』 

宝石日誌番外編 (20221123日)より)

宝石のルース(裸石)を集めていて最近、「ジュエリーとして評価されない美しさ(見逃されがちな美しさ)」があるのかなと気付きました。

近年市場に出てくる石付きのジュエリーは、カラット数(重さ)は控えめにしつつ、周囲を飾るメレダイアモンドや貴金属の装飾に引けを取らないよう、色鮮やかで輝きも強いものが選ばれているように思います。

例えば人気のパライバトルマリンなど、0.10.2ctくらいのものが指輪などに仕立てられてン十万円・・まあ値段はともかく、立派にジュエリーとして店頭に並んでいます。

ジュエリーショップに入るのは正直気恥ずかしく居心地が悪いのですが、勇気を奮って見せてもらうと、目を近づけないとわからないごま粒のようなサイズの石が、それでもキラリときらめいて存在感を示してきます。


ネット販売しているものは一部ですが、いくつか見てみると、次のような感じです。

・スタージュエリー(パライバトルマリン)
https://www.star-jewelry.com/1XR0578.html?cgid=sj-ring#srule=price-high-to-low&start=55&sz=24&cgid=sj-ring

・エステール(サファイア)
https://bloomonline.jp/items?mc=stone_sapphire

・ティファニー(ルビー)
https://www.tiffany.co.jp/jewelry/rings/tiffany-co-band-ring-GRP10226/


ネットの画面では分かりにくいですが、おそらく実物をみると、ジュエリーショップが扱う色石として、小粒ながら輝きが強い一級品の石ばかりだと思われます。

 

カラーストーン(色石)については、ビビッドカラーで、きらきらと屈折率が高く、表面はガラスかオイル光沢のきらびやかさがあるものに人気が集まっているのではないかと思います。

安価な色石だと1ct前後の大粒のものもありますが、やはりブルートパーズ、アメシスト、シトリンなど、色がはっきりして、カットしたときに輝く石が中心のようです。

 

一方で、ルースの色石を集めていると、上記に当てはまらない石を手にする機会も増えます。

先日ハンドメイド(DIY)で、グリーントルマリンを指輪にセットしたのですが、それがいい例になりそうです。

パライバトルマリンと違って、グリーントルマリンはそれほど人気がありません。
そして、グリーントルマリンの中で評価が高いのは、緑が濃くはっきりとした色合いのものです。(一部、青に近くパライバに似た色のものに、パライバカラーとして人気がありますが、それはグリーントルマリンとしての評価ではないように思います)

 

私の手元にあったのは、グリーントルマリンの中でも、薄緑のややぼんやりした色合いで、カットはきちんとしているものの、研磨が甘く、一部にざらっとした研磨跡の筋が残っています。

そんな低評価訳ありということで、1.4ctとまずまずの大粒ながら、購入価格は千円を切っていました。

ハンドメイドに使ったのも、正直失敗してもダメージが少ないと思ったためで、いわば実験台としての起用でした。


できあがった指輪は、枠に対して石が大き過ぎ、かつ、不慣れなため取付方向が斜めに傾いでいました。

とはいえとにかく一応は完成したので、実働試験がわりに外へ持ち出しました。

そして驚いたのですが、家の外で日の光に当ててみると、このグリーントルマリンは、室内でルースを見たときとは全く違う、繊細で複雑な美しさを見せてくれました。

日光を直接受けたとき、日陰に入ったとき、光の具合や傾ける角度によって、色合いもカットされたファセット面のきらめきも異なり、豊かなニュアンスが感じられます。

色石の中にあっては埋没しそうな地味な石ですが、仕立てと光線の加減によってこれほど違う表情を見せるということは発見でした。
(そう言いながら屋外では写真を撮らなかったので、室内で複数の光線を当てたときの写真を添付します)

 

せっかくルースを集めているわけですので、これからはこのような「見逃された美しさ」にも目を向けていくようにしたいと思います。