『YAG』
(宝石日誌第55回 (2022年10月28日)より)
【ダイアモンドの代用】
YAGは、イットリウムとアルミニウムの複合酸化物をガーネット様の結晶とした人造宝石です。名前はそれぞれの頭文字を取っています。
1970年代頃にダイアモンドの代用石として宝飾需要に用いられました。
その後、キュービックジルコニア(CZ)が開発されると、CZがダイア代用石の中心となり、YAGのニーズは激減しました。
一方で、医療・産業用レーザーの必須部品としての需要もあり、こちらは現在も使われています。
需要減に伴って多くの工場はラインを閉じており、ロシアと中国でのみ小規模の生産が続けられているようです。
【鉱物情報】
モース硬度は8.5と申し分なく硬く、劈開性もない丈夫な石です。
屈折率は1.833とダイアの2.4には届かず、比重も4.5とダイアの3.5に比べて重めですが、他の天然宝石に比べると相当にダイアに近い石だと思います。
YAGは生産時に微量元素を添加することで、様々な色のものを作ることができます。
・クロム→緑
・コバルト→青
・マンガン→赤
・チタン→黄
・ネオジム→青、紫、ピンク
また、アレキサンドライトのような変色性を持たせることも可能なようです。
ベキリーブルーガーネットが発見されるまで、青いガーネットは存在しないと考えられていました。

写真は先日購入した青のYAGです。
こういった人造ガーネットを見て、当時の人たちは、いつか見つかるかもしれない青いガーネットを想像したのかもしれません。
【レーザーの光】
YAGに微量のネオジムを加えたものは、固体レーザー光線を発振するための優れた励起媒質になります。
歴史をたどると、初めてのレーザー光線発射装置は、媒質としてルビーを使っていました。
最初のレーザー光線は赤かったわけです。
昔のSFでは、近未来の戦場に“ルビー・メーザー”の赤い光条が飛び交う光景が描かれていました。
アニメの光線銃も、初期の頃は赤い光線が基本だった気がします。
励起媒質のルビーをYAGに代えたYAGレーザーは、今でも医療用途など広く使われているようです。
【本日のお散歩】
今朝は曇りでしたが、案外日がさして明るかったです。
ルビーのパトロールはいつもどおりでした。
