『スファレライト』

宝石日誌第22回 (2022920日)

石に関する雑談の第22回目です。

本日のお題は「スファレライト」。

あまり有名な宝石ではないので、おそらく耳慣れない名前かと思います。


【スファレライトとは】

スファレライトの和名は、閃亜鉛鉱(せんあえんこう)。硫化亜鉛の一種で、鉛や亜鉛の鉱山から産出されることの多い比較的ありふれた鉱物だそうです。和名のとおり亜鉛が取り出せるので、産業面で重要な鉱石ですが、抽出術が未熟だった昔は、産業的にも宝飾用途でも特に活用されていなかったようです。

近年になって透明な美しい結晶が発見されたことから、宝石としてのスファレライトが注目されるようになりました。

色のバリエーションもそこそこ多く、イエローやオレンジ、ブラウン、レッド、グリーンなどが見られるようです。


(手持ちの石は、少しブラウンが噛んだオレンジ色です)


【輝きの理由】
宝石質のスファレライトを適切にカットすると、キラキラと眩しいくらいに輝きます。
この輝きの理由は、ダイアモンドに匹敵、あるいは上回るほどの屈折率、分散度にあります。

◯屈折率
 
屈折率が高いと内部で反射する光の量が多くなり、宝石の輝きが増します。
宝石中の最高峰はモアッサナイトで、それに次ぐのがダイアモンド(屈折率2.42)です。スファレライトの屈折率は2.37と、ほぼダイアモンドに匹敵します。

◯分散度
 
光の分散の大きさを示す尺度です。
光が宝石の中に入ると屈折しますが、分散度が高いと、屈折角度が光の波長(色)によって異なってくるため、色が分かれて見えます。
これを光の分散といいますが、この現象が人の目にどう映るかというと、光が何色にも分かれ、虹のようにきらめいて見えることになります。
スファレライトの分散度は0.156とダイアモンド(0.044)の4倍近くになります。キラキラと輝いて見えるのは、この分散効果によるところが大きいです。


【宿る脆弱性】
このように優れた光学特性を持つスファレライトですが、残念ながら石の強さに欠けています。
モース硬度3.54と硬度が低い上に、「劈開性」は「四方向に完全」という、どこを叩いても簡単に割れてしまう性質を示しています。

スファレライト自体は大量に産出されますが、宝石質のものはほんのわずかである上に、脆く柔らかい性質もあって、宝飾品で出回ることは少なく、コレクター向けのレアストーンの一つとされていました。


【スファレライトの未来】
宝石としては欠点のあるスファレライトですが、近年カットや加工の技術が向上したためなのか、その美しさをジュエリーに活かしたものを見かけるようになりました。


こちらの写真は、MJC(京セラ)がネックレスに加工したスファレライトです。
他にも複数のジュエリーメーカーが、スファレライトを使った商品を作っているようです。

脆く柔らかく、また酸に弱いなど、取り扱いに注意の必要なスファレライトですが、この分で行くと、少しずつ店頭で見かけることが増えていきそうです。

 

 

【本日のお散歩】

台風の影響が残って、1日降ったりやんだり照ったりの安定しない天気でした。

朝、雨が止んでる間にルビー散歩に出ました。いつ降り出すかわからないので、ショートコースのパトロールでした。