『ヒデナイト他』
(宝石日誌第75回 (2022年11月29日)後半より)
リチア輝石(spodumene 和名:リチア輝石)は、火成岩のペグマタイトから産出される珪酸塩鉱物であり、名前のとおりリチウムとアルミニウムを含むことが特徴です。
リチア輝石の中でも宝石質のものは、含有する内包物によって様々な発色をします。
【ヒデナイト】 (緑のリチア輝石)
ヒデナイト(Hiddenite)は、リチア輝石のアルミニウムが一部クロムに置き換わって緑色を呈する鉱物です。

スギライトのように、もしかして日本人の名前にちなんでいるのかと思いましたが、1879年にこの鉱物を発見したウィリアム.E.ヒデン氏の名前から取ったそうです。
鉱物としての性質は、ほぼクンツァイトと同様です。クンツァイトほどではないものの、褪色性もあるらしいとのことですので、日中の持ち出しは極力避け、石に日光を当てないよう注意が必要です。
【トリフェーン】 (黄色または無色のリチア輝石)
トリフェーン(Triphane)は、宝石質のリチア輝石で最も早く、1877年に発見されています。
発見時の分析で、3方向への劈開性が確認できたことから、ギリシャ語で「三つの面」を意味する言葉で命名したものです。
発見時の石は黄色だったそうですが、現在では黄色または無色のリチア輝石がトリフェーンと呼ばれます。
なお、黄色の発色要因は判明しておらず、なんらかの原因で、アメシスト=シトリンに見られるような結晶構造の欠陥が生じ、黄色を呈するのではないかと推測されています。
それにしても、同じ鉱物で先に「トリフェーン」という命名が決まっているのですから、後で見つかった色違いには「グリーントリフェーン」(現在の呼称はヒデナイト)、「ピンクトリフェーン」(現在の呼称はクンツァイト)と、シンプルに名付けてくれれば、覚える石の数も少なくて済むのですが・・。