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『クンツァイト』 

宝石日誌第75回 (20221129日)前半より)

リチア輝石(spodumene 和名:リチア輝石)は、火成岩のペグマタイトから産出される珪酸塩鉱物であり、名前のとおりリチウムとアルミニウムを含むことが特徴です。

この石は、リチウムの原料として近年注目が高まっています。
リチア輝石の中でも宝石質のものは、含有する内包物によって様々な発色をします。

 

【クンツァイト】 (ピンクの新しい誕生石)

クンツァイト(Kunzite)は、リチア輝石のアルミニウムが一部マンガンに置き換わったものです。

名称は、1902年にこの鉱石を分析し、新しい鉱物として報告したジョージ..クンツ博士()に因んで、翌年に命名されました。

(※ティファニーで働き、モルガナイトを命名した学者です)

モース硬度は6.5-7と比較的硬いのですが、二方向の完全な劈開性(特定方向への割れやすさ)があり、ジュエリーとしての加工、使用には難しい面があります。

色は薄いピンクが中心ですが、ラベンダー色からパープリッシュピンクまでの広がりがあります。

光学的特徴としては、強い多色性があり、見る方向によって、無色から薄ピンク、ピンクなどに色が変わります。ただし、ピンクの濃淡の範囲での変化であり、あまり変化する印象にはなりません。

また、蛍光性があり、紫外線を当てると赤系の色に輝きます。
石によっては、紫外線の照射を終えたあとしばらく発光が続く「燐光性(フォスフォフィレッセンス)」を持ったものもあります。

 

注意すべき点として、この宝石には褪色性があり、直射日光にさらすと色が薄くなってしまい、戻りません。日中好天下での着用はできるだけ避け、日光の当たらない場所に保管する必要があります。

クンツァイトは、202112月に、新たに9月の誕生石として追加されました。

日本独自に追加したものですが、個人的にはこの判断には疑念があります。

誕生石としては、ある程度丈夫で扱いやすく、素人が普段使いしても問題ない石であることが重要だと思いますが、クンツァイトは割れやすく、また、知らず知らずのうちに色褪せてしまう性質があります。
確かに上品なピンクは美しいのですが、それも同時に誕生石として追加されたモルガナイトと被っていて、欠点を補うほどの独自の美しさを持つとも思えません。

ティファニー社では自社の長い歴史を語るレガシーストーンとして重要視されているそうですが、一般向けに適さない性質を持つクンツァイトが、なぜ誕生石として選ばれたのか、正直不思議な気はします。

 

問題点もありますが、クンツァイトは大粒の結晶が、現時点ではかなり安価に手に入ります。
色や輝きが気に入った場合、欠点を理解し、慎重な取扱いができるのであれば、購入候補に加えてもいい宝石だと思います。