『ダイアスポア』
(宝石日誌第46回 (2022年10月18日)前半より)
【散らばる石 ダイアスポア】
ダイアスポアは、コランダムと同じアルミニウムの水産化合物の一種で、19世紀はじめ頃にロシアのウラル山脈で発見されました。
加熱すると爆発し、細かい結晶状に散らばる性質があったことから、ギリシャ語で「散らばる」という意味の「diaspheirein(ディアスペイレイン)(※) 」に基づいて、フランスの有名鉱物学者 ルネ=ジュスト・アウイによって命名されました。
あまり知られていませんが、他にエンフォライト、カイセライト、タナタライトなどの異称があるようです。
発見されたロシア以外にも、アメリカ等世界各地で産出しますが、透明な宝石質のものが採掘できるのは、トルコのマルマリス地域のみです。
宝石としての流通は1970年頃からと比較的新しく、色は無色、灰色、薄茶、黄、緑、ピンク、紫などと多彩です。また、はっきりした変色性を持つものもあります。
モース硬度は6.5〜7と十分な硬さがあるのですが、特定方向の割れやすさ(劈開性)が強く、カットの難しい石として知られています。
(※
故郷を失ったユダヤ民族の大離散も、同じ語源でディアスポラと呼ばれます。なお小松左京は“日本人のディアスポラ”をテーマに「日本沈没」と未来SF数編を上梓しました)