『インクォーツ』
(宝石日誌第70回 (2022年11月22日)より)
クォーツの中には、不純物のインクルージョンがありながら、それが欠点にならず、却って石の価値を高めるとされるものがあります。特に風情のあるものはコレクターに好まれて、宝石としての一分野を作っています。
【インクルージョン考】
宝石とインクルージョン(内包物)は不思議な関係にあります。
基本的には、インクルージョンがあると透明度は下がるので、宝石としてはマイナスです。
しかし、天然の石ならではの、一つとして同じものがない模様は、見る人に不思議な感懐をもたらすこともあります。
例えば、エメラルドはインクルージョンが付き物の宝石ですが、中世欧州の人々はインクルージョンがさまざまな形や陰を見せるさまを「天使の庭」と呼んで、エメラルドの中に幻の小宇宙を想像していました。
日本人の箱庭好きにも通じる感性が感じられて、好きな逸話です。
クォーツは、産出量が多いこともあってか、インクルージョンを含んだ石に美しい模様を描くものが多く、それらはインクォーツと総称されて、宝石の1グループを作っています。
【各種のインクォーツ】
◯ルチルインクォーツ(針水晶)
針と言うと物騒ですが、クォーツの内部に、二酸化チタンが結晶化したルチルが入り込んだものです。

「ルチルクォーツ」「ルチレイテッドクォーツ」というのも同じ意味です。
ルチルは金色で針状の結晶になるため、ルチル入りの宝石には特有の美しさが生まれます。
◯ゴーストクォーツ(幻影水晶)
結晶の中を二分する線が走っていて、遠くの山なみの稜線のように見えるものです。

何らかの環境変化があって、結晶の成長が止まり、その後また成長が再開した結果、成長の境界線が残ったものだろうと考えられています。
「ファントムクォーツ」とも呼ばれます。
◯ストロベリークォーツ
クォーツの中に赤いレピドクロサイト等のインクルージョンがストライプ状に入り込んでいるものです。

「レピドサイトクロサイトインクォーツ」とも呼ばれます。
レピドサイトクロサイトの代わりにゲーサイトが入り込んだものも同様に赤いインクルージョンとなり、同じようにストロベリークォーツと呼ばれるか「ゲーサイトインクォーツ」と呼ばれます。
◯デンドリティッククォーツ(模樹水晶)
「デンドライト」と呼ばれる樹木の枝状のインクルージョンが入ったクォーツです。

森の風景が水晶の中に映し出されているように見え、ときに水墨画の世界をも連想させます。
過去には石の中に樹木の化石が封じ込められているものと考えられていたそうです。
(モスアゲートとして購入しましたが、クォーツの可能性があるのではと思っている指輪もありますので、併せて写真をお付けします)

インクォーツには他にも、紫外線での蛍光が美しい「オイルインクォーツ」や目の覚めるような青の「デュモルチェライトインクォーツ」など、人気のインクルージョン入りクォーツがまだまだあります。
【補足:その他の水晶の仲間】
(模造石)
◯ダブレットクォーツ
模造宝石の一種で、美しいクォーツを薄く切って、無色のクォーツの上に貼り合わせたものです。

横から見ると、テーブル面のすぐ下に、接着剤で貼り合わせた跡が一直線に入っています。
模造石ではありますが、輝きが明るいことなど、模造なりの魅力を持つものもあるように思います。
(ご参考:鉱物としての近縁石)
◯オパール(蛋白石)
二酸化珪素(SiO2) が、低温で水分を含みゆっくり固まったものです。
クォーツと異なり、結晶として完成されておらず、原子配列が不規則な“潜晶質”の物質となります。
結晶ではないため、本来の定義としては鉱物ではないのですが、鉱物として認められています。無論宝石としても有名です。
◯黒曜石(オブシディアン)
二酸化珪素(SiO2) に富んだ流紋岩質の溶岩が、水中などで急激に冷やされることで生じた火山ガラスです。
【本日のお散歩】
今朝は晴れて暖かい気候です。
ルビーはトコトコと、どこまで行くの? といった感じで、普段行かない道まで進出しました。
