(トップページへ 戻る

『ユークレース』 

宝石日誌第43回 (20221013日)より)

【“割れやすい”という名の稀少石】

ユークレースはエメラルドなどと似た性質を持つベリリウム珪酸塩鉱物の仲間です。
発見されたのは18世紀となかなか歴史のある石です。テキスト が含まれている画像

自動的に生成された説明

当初はベリル系鉱物のアクアマリンと混同されていたようですが、とても割れやすいといった性質の相違に疑問を持ったフランスの鉱物学者ルネ=ジュスト・アユイが、別種の鉱物であることを突き止め、「eu(簡単に)klasis(割れる)」というギリシャ語からユークレースの名前をつけました。

なお、発見者のアユイは「結晶学の父」と呼ばれる高名な学者で、元素のクロムは彼の命名です。

また、アウイナイトという宝石の名は、このアユイにちなんでいるとも、別のアウィンという学者の名前から取ったとも書かれていて、今のところどちらが正しいかはっきりしません。(後でもう少し調べます)

 

ユークレースはモース硬度7.5と、かなり硬いのですが、名前の由来のとおり、完全劈開性を持つ非常に割れやすい宝石です。そもため、ジュエリーなどに加工されたものを見かけることはほぼありません。

色合いは無色、薄い青〜濃青色までのブルー系のものが中心です。この青は鉄やチタンの微量元素の影響と考えられていて、これはブルーサファイアやカイヤナイトと同じ発色の仕組みです。

また、クロムの含有等によって、稀に白、黄、緑やピンクを呈することがあるそうです。

ただでさえ稀少な石ですが、こういった変わり色のものはさらに珍しく、相当な高額で取引されているようです。私もこれまで、無色か青以外のユークレースを見かけたことはありません。2023/2/18追記:「ミネラルフェスタ in 東京」でピンクのユークレースを見かけました)


最初に発見されたのはブラジルですが、コロンビア、エチオピア、ジンバブエなども主な産地となっています。

このうちジンバブエ産は、比較的最近市場に出回り始めたようですが、青が濃いものが多く、今後人気が高まりそうです。

 

日本でこの宝石の人気が高まったのは、市川春子の漫画「宝石の国」の主要登場人物としてユークレースが登場したことの影響が大きいと思われます。

「宝石の国」の舞台は、人類が滅んだ後の遠い未来です。

この世界では、集団知性を持つらしい微生物が海中の元素を集め、宝石の体を持つ、人によく似た意識体を生み出します。

宝石の成分から創造され、微生物を“インクルージョン”として体内に取り込んだ「宝石」たちが、様々な物語を織りなしていきます。

主人公はフォスフォフィライト(燐葉石)という稀少石なのですが、「宝石の国」の人気が高まることに伴って、この宝石の市場価格は10倍ほどに高騰したそうです。

※9月の横浜ミネラルフェスタで、6カラット1,000万円のフォスフォフィライトのルースを見かけました。

※京セラMJCのジュエリーフェアでも、2カラット300万円のユークレースがありました。

加工に向かず、仮にアクセサリーに仕立てても割れやすく注意が必要なユークレースは、ルースのまま保管して、ときどき鑑賞するのが無難かもしれません。

 

 

【本日のお散歩】

昨日の雨は明け方まで降り続きました。

朝の散歩に出たときにはまだ地面は濡れていて、匂いが流されたのか、ルビーは地面に鼻を近づけて、微かな匂いをたどるように歩いていました。
(おかげで写真もうつむきのものしか撮れませんでした)