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『キュービックジルコニア』 

宝石日誌第17回 (2022915日)より)

17回目の今日は人造宝石の「キュービックジルコニア」を取り上げます。

 

【成り立ち】

キュービックジルコニアは、1976年に開発された人造宝石です。

以前ご紹介したモアッサナイトとは違って、自然界の元素を再現したものではなく、ゼロから実験室で作られた物質です。

 

当初は安価な模造ダイアモンドといった位置づけからスタートしましたが、安定した品質や低い製造コスト(1カラット辺り10円程度とも)に支えられて、今や廉価なファッションジュエリーはキュービックジルコニアなしでは成り立たないほどに市場に普及しています。

ジュエリー専業の会社も、一部にキュービックジルコニアのラインナップを持っていることが多く、優れたデザインのジュエリーをそこそこの値段で提供してくれています。


(写真はとある宝飾メーカーが自社で作成したキュービックジルコニアのネックレスの例です)

 

【優れた品質】

また、アメリカやアジア地域の通販では、数百円でいい感じのファッションジュエリーを購入できますが、そういった商品の宝石の素材を見ると、キュービックジルコニアとシルバーの組み合わせが非常に多いです。

安いから品質もそれなりかと思いがちですが、なかなかどうして宝石としてのレベルは高いです。

まず傷つきにくさを示すモース硬度は、8から8.5と、ダイア、モアッサナイト、コランダム(ルビー、パパラチャ、各色サファイア)についで硬い物質です。

光の屈折率はダイアにやや劣りますが、光を当てたときにどれほどキラキラ光って見えるかを示す分散の数値はダイアを上回っています。(ただし、数十年経つと、透明だったものが少し黄ばんでくる可能性があるとの指摘もあるようです。)

また、工場生産品ですので、製造時に金属元素を適宜加えることで、実に様々な宝石の色を再現することができます。このことも大きな利点ですね。

キュービックジルコニアのカラーストーンは、本当に濁りのない、くっきりとした色合いで、文句なく美しいです。

キュービックジルコニアのおかげで、低いコストで、多様な美しいジュエリーを、誰もが安価に入手できる道が開けたと思います。

 

【不運な宿命】

一方で、ここまで広く利用されていることの裏返しとして、どうしても「本物の宝石ではない」「安物」といったイメージがつきまとってしまうことも否めません。

 

キュービックジルコニアのことを考えると、私はいつも、スターウォーズに出てくるストームトルーパー(クローン兵)を連想します。

ストームトルーパーは最優秀の兵士のクローンなので、全員が高いポテンシャルを持ち、命令に忠実で、かつ、団結力が高く作戦上の期待を裏切ることが少ない部隊です。

一方で、個性が見えないことが災いするのか、何故だか軽んじられ、ときには使い捨てにされてしまう・・。
力量は高いのに、見合った評価をしてもらえないところが似ていると感じる理由でしょうか。

 

残念ながら、キュービックジルコニアをダイアモンドと誤認させて買わせようとするような販売が依然横行していることも、宝石としての印象を悪くしていると思います。

美しさを正当に評価したうえで、適材適所で使い道を見つけてあげるのが、このちょっと不運な人造宝石との正しい付き合い方かなと思います。

 

 

【本日のお散歩】

今朝の空はいい具合に曇っていて、涼しい風も吹いていました。
ルビーは足取りも軽く歩きます。

 

  おうちのまわり   いじょうなし

  どうろ も  いじょうなし

  あっちのこうえん  いじょうなし

  こっちのこうえん も  いじょうなし

 

と、今日も地域の安全確認に余念がありません。