「ファンシーカラーサファイア」
(宝石日誌第11回 (2022年9月4日)より)
今回ご紹介する石は「ファンシーカラーサファイア」です。
宝石質のコランダム(酸化アルミニウムの結晶)のうち、赤はルビー、オレンジピンクはパパラチャ、それ以外は色名または地名をつけて◯◯サファイアと言います。このうち、ブルーサファイア以外はまとめてファンシーカラーサファイアと言うことが多いです。
【多彩なファンシーサファイア】
オレンジサファイア、イエローサファイア、ゴールデンサファイア(濃黄色)、ホワイトサファイア(無色)、ピンクサファイアが写っています。 鮮やかなオレンジピンクのものはパパラチアサファイアと呼ばれて別格扱いとなります。(なお、アメリカでは既にパパラチャはルビーと同様に「サファイア」を付けず、独立した宝石名として扱われています。)

次の写真はラベンダーサファイア、パープルサファイア、ブラックサファイアです。 他にグリーンサファイアなどもあり、コランダムの色の豊富さは驚くほどです。
【合成サファイア】 最初の写真の下に、オレンジ、ピンク、パープルの3色の大粒のサファイアを置いてみました。 この3つは合成石です。 こうして並べても素人目ではどちらが天然かまったくわかりません。
ピンクサファイアは形も同じで、混ぜてしまったらどっちがどっちかわからなくなりそうです。 コランダムは工業目的で使われることも多く、廉価なサファイアの需要があって、合成技術が磨かれました。
ちょっといい腕時計の文字盤の蓋にはサファイアガラス(ホワイトサファイア)を使います。他にもその硬さを活かして、機械の軸受や研磨剤など、多様な用途で活躍しています。
合成サファイアは、日本では京セラのクレサンベールを数少ない例外として、宝石としての需要はほとんどありません。
一方欧米では、安くて見栄えのいい合成石にも一定の市場があるようです。
また、合成石は採掘による環境破壊や過重労働の心配がなく、天然石よりも環境等に優しいと言えます。
エマ・ワトソンやレオナルド・ディカプリオなど、合成石のジュエリーを積極推奨する著名人もいます。
【スター】
ルビーやサファイアの中には、宝石の中に針のような形の内包物が偶然入っていたことにより、差し込んだ光が6本に分かれて見える「アステリズム効果(スター効果)」を表すことがあります。
このような石を「スタールビー」「スターサファイア」などと呼びます。

スター効果を見せるには、針状の内包物のまわりを丸くする必要があるため、鋭角のカットは行わず、半球状に丸く磨く「カボションカット」が施されます。
先ほどの写真の中で、ブラックサファイアはスター効果のある石で、日光など直線的な光を当てると、うっすら6本の光の筋が現れるのがわかります。
【モンタナサファイア】
モンタナサファイア(Montana Sapphire)は、名前のとおりアメリカのモンタナ州で産出されるサファイアです。
およそ150年前に石炭鉱夫によって発見されましたが、長い間注目されることはありませんでした。
当時アメリカの宝石産業が未発達であったこと、黄色や緑の混ざった明るい青が市場で好まれる色ではなかったことなどが要因にあります。
モンタナにはいくつかの鉱床がありますが、そのうちヨーゴ渓谷で採れたものが、19世紀の終わりにティファニー社のクンツ博士に見出され、明るい色合いと透明度が高い評価を受けました。鉱床の権利はイギリスの宝石商に買い取られ、主にヨーロッパの市場に出まわることとなりました。
この鉱床は現在は閉鎖しており、ヨーゴ産の石は「ヨーゴサファイア」として稀少性をアピールされ、一層の高値で売られているようです。
各色ありますが、日本で見かけるモンタナサファイアは、青、青緑の色が多いようです。
個人的には、青緑色のものが多い、やや高級路線のブルーサファイアというイメージを持っています。

※ルビーとサファイアは、硬く強いことからジュエリー用途に適している上に、多彩な色合いとスター効果などもあって、宝石界で不動の人気があります。
ルビーとサファイアで、国内に流通するカラーストーンの3割以上を占めるそうです。 道理で私のコレクションも日に日に増えてしまうわけです。